委員長ご挨拶

委員長 黄光偉
地球環境学研究科委員長 黄光偉

上智大学地球環境学研究科は2005年設立された大学院組織です。名を冠した通り、様々な環境問題の発生原因の究明、実態の把握、変遷メカニズムの解明と問題の解決方法に関する教育と研究活動を行う学問場です。

環境問題とは、様々な角度から捉えることが出来ますが、簡潔に述べると主に人間活動を起因として発生するマイナス的な環境変化。特に20世紀の後半から、人間活動規模の急速拡大により、自然の物質循環と生態系に深刻な攪乱が起っています。このような環境問題の一つ特徴は、不特定多数の者が原因者になっていると同時に、原因者がその影響を受ける者にもなっていることです。もう一つ特徴は多様な問題が複雑に絡み合っています。

このような背景で、従来の縦割り型学問分野の中では、複合・複雑な環境問題の抜本的な解決策を見出すことが出来ません。学問分野の再編と融合が時代に求められています。このような背景で誕生された環境学は既存の自然科学と工学を基盤とし、経済学、社会科学や人文科学とも強く連関する総合的な学問です。環境学の研究は、時空を超えた普遍的で新たな自然と人間社会相互作用の科学知見を提示することと同時に、持続可能な社会づくりを学術活動として推進することがミッションと言えます。

本研究科創設以来、環境諸問題に対して、多くの成果を社会に提示することが出来ました。同時に多くの大学院生を育て、様々な社会領域に送り出しました。一方で、地域と全球規模での環境問題はますます深刻となっており、環境学に対する社会的要請はさらに高まっています。

この3年間で、これほどまでに社会活動がコロナ禍に影響されたことをどれだけの人が予測したでしょうか。今後も、予測不能なことは多々あり、それに柔軟に対応していける適応力とどんな環境に置かれても真理を追究する堅持力を兼備した人材がサステイナブルな社会の形成に必要とされています。

上智大学地球環境学研究科は時代のニーズに応え、従来の学問領域では解決できない課題に挑む研究と関連の教育活動を続けます。地球環境問題の解決を志す学生を大いに歓迎いたします。

地球環境学研究科委員長
黄光偉