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生態系サービスと持続可能な環境資源管理政策
柴田研究室

柴田 晋吾
教授

研究室:
〒102-8554 東京都千代田区紀尾井町7-1
上智大学
2号館1516号室
TEL:
03-3238-4365
E-mail:
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研究

学位論文「森林の多元的価値実現論 -持続可能な森林環境資源管理のあり方についての研究」(2001年、東京大学農学部)において、資源管理思想や政策転換の歴史的経緯と「参加」・「協働」が政策形成過程に果たした役割を分析した上で、「予定調和」に代わる「計画調和」の思想を提言。本論の内容の一部は、著書「エコ・フォレスティング」(日本林業調査会、2006年)に収録。本書では人々が森林や自然に持続可能、かつ積極的に関わる営みを総称して「フォレスティング」と称することを提案し、1.欧米における森林環境政策の転換の歴史的経緯、2.エコシステムアプローチの思想と手法、3.参加と協働による管理・計画策定の理論と実際、4.世界の森林保全問題と解決策としてのPESなどの取り組みについてグローバルな視点で解説した。

引き続いて、競合する多様な環境・経済・社会的価値を持続可能に実現するためのステークホルダーの参加・協働による政策形成やPES/生態立脚型管理などの生態系サービスアプローチによる政策手法について国内外の事例研究を中心にグローバルな視点で取り組んでいる。具体的には、以下のようなテーマについて取り組んでいる。

協働型の政策形成

 持続可能な環境資源管理政策の形成や土地利用計画の策定において、異なる価値観と立場の多様なステークホルダー間の環境に関する紛争管理のために不可欠な要素となっている住民や関係者の参加、協働を取り入れた政策形成のあり方。ケーススタディの対象としては、アメリカ国有林のNEPA(国家環境政策法)/NFMA(国有林管理法)にもとづく環境影響評価を取り入れた森林計画および地域協働体(Local Collaborative)を含めた協働型政策形成、森林を中心とした景観の協働管理のネットワークである国際モデルフォレストネットワーク(International Model Forest Network)の世界各地の取り組み事例を含む。

政策決定への「生態系サービスアプローチ」の導入

トレードオフ分析などを経て全ての生態系サービスの同時実現を目指す「生態系サービスアプローチ」の政策決定への導入を図る「生態系サービス管理」の理論と実際。ケーススタディとして、アメリカ連邦政府の試行事例などを中心に知見の収集・分析と適用可能性の検証を含む。

多様な環境価値・生態系サービスの実現のための総合的な生態系立脚型管理と「生態系サービス(ES)林業」

伝統的な木材などの商品を認証システムなどにより持続可能に生産することに加えて、生態系が提供している水源保全、炭素固定、生物多様性、景観など様々な環境価値を持続可能な形で実現するための総合的な生態系立脚型管理のあり方。具体的には、PES(生態系サービスへの支払い)などの民間資金等を導入した保全手法やラベリングなどを含めた「生態系サービス(ES)林業」を提唱し、その可能性についてグローバルな視点で検証を行う。ケーススタディとして、アメリカにおける保全投資や市場メカニズム導入の取り組み、タイ・チェオプラヤ川流域におけるPESを含めた総合的管理、検証保全地域(VCA)アプローチによる景観ラベリングなどを含む。